窓ガラスの発展の歴史

窓ガラス発展の歴史

ガラスは現代社会において、非常に幅広く活用されている素材です。透明でありながら強度を持つという点で、窓ガラスとして建造物や自動車など、ありとあらゆる場所で使用されているほか、装飾品や特殊な容器など、その活用方法は多岐にわたります。人類にとって欠くことのできないガラスですが、果たしてどのように発展してきたのか、そして今後どのように活用されていくのか、その歴史と展望を見ていきましょう。

ガラスの歴史とその発展

石器時代のガラスがあった?

ガラスの歴史は古く、人類の文明のはじまりとともにありました。
そもそも石器時代に使用されていた矢じりや石のナイフもまた、黒曜石というガラスの一種です。もっともこれらは火山の噴火などで流れ出した溶岩が、ガラス状に固まったもので、いわば天然のガラスを利用したにすぎません。人為的にガラスを製造し、利用するようになったのは、人類の歴史の最初期、歴史教科書に載っている四大文明のころと言われます。そのなかでも、エジプトやメソポタミアにおいて使用されていたとする説が有力で、当時の遺跡の出土品のなかには、そうしたガラス利用の形跡が残っています。

貴重で高価だった昔のガラス

初期のガラスは現在のガラス製品とはことなり、主に装飾品の一部とされていました。古代のガラスは砂や珪石、石灰など、天然でも比較的高い純度で存在するものが資源として使用されており、それらを高温で融解させたのち、冷却して固形化することで得られました。石炭や石油が利用されるまでは、木材を燃やすことで製造されていたガラスが、当時王族などが使用する装飾品になるほど、貴重で高価なものだったことは容易に想像がつきます。

製品として一般化するガラス

ガラス工芸技術の登場

ガラス製品が庶民までいきわたるようになったのは、紀元前1世紀ごろ、エジプトで吹きガラスという成形技法が開発されてからになります。この方法は現代でも行われている代表的なガラス工芸技術です。そのころにはガラスの鋳造方法にも技術革新も起こり、安価で大量のガラス製品が生産されるようになっていきました。
ローマ帝国が「世界」を席巻している時代、これらのガラス製品は帝国全土で使用されるようになり、ローマガラスと呼ばれます。このころにはガラスを板状に整形し、窓にはめ込むことも始まりました。これが窓ガラスの歴史登場の最初とも言われます。

イスラム文化を経て、アジアへ伝わった

ローマ帝国の衰退とともに、ガラスの製造技術や装飾文化は東へ移動し、イスラム文化圏を経たのち、中国から朝鮮半島へと伝播していきます。中世には、イスラム圏ではガラスに対する彩色技術が発展します。これらは陶器に用いられたほか、12世紀にはキリスト教会のステンドグラスとして使用されるようになりました。
このころには不純物を取り除いた無色透明なガラスの製造技術も確立されていったと考えられています。ヴェネチアやボヘミアなど、名高いガラス工芸技術が発展した地域もまた、このころに発展していったのです。
18世紀の産業革命を終えたころには、ガラスは装飾品のみならず、窓ガラスや瓶、望遠鏡や顕微鏡など、多くの分野で製品として活躍するようになります。
世界のさまざまなガラス工芸については、こちらの記事をどうぞ:<世界のガラス工芸>

ガラスの未来 科学技術と芸術

ガラス製造の技術革新

現代社会において、ガラスのなす役割は大きく、範囲も広大です。ガラス製造の技術革新とともに、原料開発の進歩もあって、純度が高く、透明で平坦なガラスが安価で大量に製造できるようになりました。その結果、すでに貴重品としてのガラスはごく一部の「芸術性を備えた作品」のみとなっていきます。

ハイテク工業製品としてのガラス

一方では、ガラスを使ったハイテク工業製品が数多く登場することになりました。
光ファイバーはデジタル通信を根底で支える最も重要な技術ですが、これらは光に対して透過率が非常に高い石英ガラスで作られているのが一般的です。みなさんが普段使用しているパソコンのハードディスクドライブもまた、ガラス素材で作られています。テレビのモニターや照明器具の多くもまたガラス製品ですし、スマートフォンのディスプレイや望遠鏡に使用されている精緻な鏡、さらにクリスタルなどの高級食器であるバカラなどもまた、ガラス製品の代表といえるでしょう。

ガラスの未来

科学技術で進化するガラス

ガラスといえば、脆くて壊れやすい性質というイメージがあります。しかし現代のガラス製造技術の革新は目覚ましいものがあり、自動車のフロントガラスなどで使われる強化ガラスには、従来のガラスの5倍ほどの強度が備わっているのです。今後も技術革新が進み、想像もできないようなガラス製品が登場してくるかもしれません。
科学技術の進歩がガラスの可能性を広げたのは間違いありません。窓ガラスひとつとってみても、複層ガラスによるエコロジー技術の発展や、耐熱ガラスによる安全性の強化がその代表です。ペアガラスやLow-Eガラスなど、高性能な住宅の窓ガラスの交換やガラス修理は、専門の業者がしてくれます。現代の家の窓ガラスは、技術の進歩によって、快適な機能を備えた窓ガラスがたくさん揃っています。

ガラス工芸としての価値

その一方、古くから続く芸術としてのガラス工芸もまた、ガラスの持つ特徴をよく表しているといえるでしょう。江戸切子に代表される日本の伝統芸術は、江戸時代末期に隆盛を極め、現代においてもその価値を高く評価されています。アールヌーヴォーを代表するガラス工芸作家であるエミール・ガレやティファニーの創業者もまた、ガラス工芸を芸術まで高めた人物です。

まとめ

ガラス製品は、窓ガラスに代表されるように、現代社会の生活においてなくてはならないものです。さらに現代のハイテク産業技術を支えるファクターである一方、芸術品としても古くから価値を見出されてきました。
ガラスの歴史は古く、幾度かの技術革新によって、ガラスは私たちの生活に広く、深く浸透していきました。今後も新たな技術の進化や、芸術家の登場によって、さらにわたしたちを驚かせるような発展を遂げるかもしれません。