ガラス作りの技法

ガラスの技法

身の回りにあるガラスの製品達は、とても綺麗に作られています。これらのガラスは、様々なガラス作りの技法によって作られたものであり、その技法がなければこれほどまでに綺麗な製品にはなりません。
それらガラス作りの技法にはどのようなものがあるのでしょうか。今回は代表的なガラス作りの技法の数々を確認していきましょう。

ホットワークについて

ホットワークはガラスを高温で溶かし、柔らかい状態で形成をする技法のことです。ここではホットワークにおける幾つかの技法をご紹介いたします。

吹きガラス

溶けたガラスを筒の先につけて、一気に息を吹き込んでそれを膨らます、この行程が吹きガラスです。息で膨らますという性質上、この技法で作られるガラス製品は筒状のものが多いのも特徴です。
さらに吹きガラスの技法は、何もない宙で吹いて成形するのが宙吹きと、石膏や金属などの型に入れた状態で吹いて成形するのが型吹きに分けることができます。

ホットキャスト

ガラスの形成方法で大量生産型であるのが、このホットキャストです。ホットキャストは、金属や砂などであらかじめを作っておき、そこに溶解している状態のガラスを流し込み冷やす技法です。こうすることで一定の形状のガラス製品を画一的に作ることが可能です。
また、ホットキャストで作られた製品は、次に紹介するキルンワークに比べて光沢や透明感があるのも大きな特徴でしょう。

キルンワーク

キルンは釜という意味であり、電気炉や釜などにガラス素材や耐熱素材の型などを入れて形成する技法です。ホットキャストとよく似ていますが、釜の中で形成を行うポイントが違います。
キルンワークには幾つかの方法があり、二つのガラス素材を釜に入れて加熱してくっ付ける「フュージョン」、耐火性の型を用いてガラスそのものの重力で型に合った形状のガラスを作る「スランピング」、耐火型にガラス素材を敷き詰めて高温で熱して落とし込む「キャスティング」などが代表的です。

コールドワーク

ホットワークの対極にあるのが、冷えた状態で加工を行うコールドワークです。このコールドワークにもいくつかの技法があります。

カットグラス

形成された状態のガラスにカット(彫刻)を施して、様々な模様をつけるのがカットグラスの技法です。
海外ではカットグラスと呼ばれていますが、日本では切子の技法名も有名で、江戸切子や薩摩切子という日本独自のカットグラス技法も発達しています。
カットグラスでは七宝文八角籠目文などのパターン化された模様から、絵のような自由な模様までガラスを彫るようにして描くことができます。

サンドブラスト

専用の器具を用いて、金剛砂などの砂を高い圧力でガラスに吹き付けて彫刻をするのがサンドブラストの技法です。マスキングテープ(ガラスが削れないように保護するテープ)を用いれば、かなり自由度のある模様をガラスにつけることが可能です。
また、吹き付ける空気の圧力の力加減を変えることで、その彫刻度合いを変化させることができるのも特徴でしょう。

ガラスエッチング

ガラスエッチングは特殊な薬品を用いて、ガラスの表面を腐食させる技法です。腐食させたくない部分に保護をする目的の型紙を用いれば、サンドブラストと似たように自由な模様をつけることが可能です。
最近ではエッチングに応用できる薬剤が簡単に手に入ることもあり、個人でも容易に行うことができるガラス作りの技法であると言えます。

ステンドグラス

ガラスを使った芸術品としても名高いのが、ステンドグラスでしょう。ステンドグラスは色付けされたガラスを、色鮮やかになるような配色で取り付けていく技法です。
ステンドグラスの技法はさらに細分化することができ、その数も多いです。その中でも鉛線を使ってガラスを挟み溶接するヨーロピアン技法、コパテープを使って溶接を行うティファニー技法、エポキシ樹脂を使ってガラスとガラスの間を埋めるダルドヴェール技法に分けられます。
世界の魅力的なガラス工芸について知りたい方は、こちらへ:<世界のガラス工芸>

まとめ

ガラスには熱を用いるホットワークと冷えた状態で加工するコールドワークの二つに分けられ、その二つの技法にも様々な種類があることがわかりました。
ガラスの成形は単純なものかと思いきや、上記のような様々な適切な加工方法が用いられているようです。ガラス作りの技法を知っていれば、身近にあるガラスの加工品を意識して見たときに、その成形がどのような技法を用いて行われているのかが分かって、ちょっと面白いかもしれません。