ガラス瓶の歴史

ガラス瓶

日本だけではなく、世界には沢山の美しいガラス瓶があります。これらガラス瓶は、どのような歴史を経て、現代の美しいガラス瓶へと成長を遂げて行ったのでしょうか。
今回はガラス瓶の魅力を紹介するとともに、世界におけるガラス瓶の歴史、そして日本のガラス瓶の特徴にも迫ります。

世界のおしゃれなガラス瓶

世界的に有名なバカラ

ガラス製の食器やコップといえば、かなり高いブランドイメージを誇るのがバカラではないでしょうか。そしてバカラは食器やコップだけではなく、ガラス瓶も製造しています。そのため、世界的に見てもバカラのガラス瓶はとてもおしゃれです。
バカラ製のガラス瓶は様々なものがありますが、その全てに共通しているのが、かなりの透明度を誇るガラスの材質、そして巧妙に作られた装飾性です。ちょっと着色されたもの、複雑な模様が描かれたもの、さらにシンプルでありながらもスタイリッシュなものなど、素材の良さが引き出されたガラス瓶であるのがバカラの特徴でしょう。

メイソンジャーのガラス

また、バカラのような高級志向のものだけではなく、家庭的でありながらおしゃれなガラス瓶で有名なのがメイソンジャーのガラス瓶です。
メイソンジャーはアメリカのガラス製品を作っている企業であり、アメリカの一般家庭でも多く使われているガラス瓶のメーカーでもあります。しかし、庶民的なものであるものの機能性はもちろん、そのデザインもシンプルで良いですので、日本国内でもおしゃれなガラス瓶としての地位を高めています。

ガラス瓶の製造・発展の歴史

コアテクニックという技法

今でこそガラス瓶は一般の人でも簡単に作れるようになりましたが、効率の良い加工方法が見つかるまではそう簡単に作られるものではありませんでした。
さて、そんなガラス瓶のはじめの一歩となったのが、コアテクニックという技法が確立されたことに始まります。コアテクニックはなんと紀元前16世紀〜15世紀という大昔に編み出された技法です。
コアテクニックは金属の芯にガラス瓶の形の基となる成形した粘土をつけ、その周りをガラスで包むような形で行われます。その状態でガラスを冷まし、金属の芯を抜いて粘土を掻き出せばガラス瓶ができあがります。

吹きガラス製法、その他

紀元前1世紀頃に吹きガラス製法ができるまでは、コアテクニックがガラス瓶製造の主な方法でした。しかし、吹きガラス製法はコアテクニックよりも簡単で、品質の良いガラス瓶ができるため、今ではこの方法がスタンダードな製造法となっています。
吹きガラス製法は、大まかな技法そのものは、現代のものとそれほど違いはありません。ですので、ガラス瓶作成の技法は紀元前1世紀には既に確立されていた、と言っても過言ではないでしょう。
また、現代のガラス瓶の製法について、そのガラス瓶の形状によっては幾つかの方法があります。その中でも溶かしたガラスを型の中に入れて冷ますホットキャストの製法、型に入れたガラス素材を釜の中に入れて加熱の段階で成形を行うキルンキャストなどもその製法の例として挙げられます。
ガラスの製造技術について詳しく知りたい方は、こちらの記事をお読み下さい:<ガラスの製造技術の歴史>

日本のガラス瓶

江戸時代にガラス瓶ができた?

日本におけるガラス瓶の歴史のスタートは、江戸時代に遡ります。長崎でオランダとの貿易が盛んになされていたことから、そこでガラス製造の技法が日本に伝来します。そしてガラス職人であった上総屋留三郎という人物が、蘭学者に指導される形でフラスコを作りました。これが日本で初めて、ガラス瓶が作られた記録となっています。
その後、アメリカやヨーロッパからビールが輸入され、その瓶の廃棄されたものを再利用する形で、日本でのガラス瓶作りは発展していきます。

明治にはビール瓶が登場

明治に入り、国内で初めてビール瓶が作られるようになりました。そして大正に入ると国内におけるガラス製造能力がさらに発展し、現代に繋がるようなガラス瓶の大量生産が体系化されるようになったのです。
日本のガラス瓶の特徴としては、加工製品を入れるためのシンプルなものから、江戸切子や琉球ガラスなどの装飾性の高いものまで、幅広い用途があることが挙げられます。また、廃棄されたガラスを再利用する率が高いのも日本のガラス瓶の特筆すべき点です。用途や見た目の観点からはもちろん、エコの観点からも質が良いのが日本のガラス瓶でしょう。
また、ガラス瓶の普及や認知度を高めるとともに、ガラス瓶のデザイン向上などを目的として毎年一度、ガラス瓶アワードという大会が開かれているのも日本のガラス瓶に関する凄いところです。

まとめ

ガラス瓶はとても長い歴史の中で、徐々にその技術が培われて作られるようになったものだということが理解できます。そして今では、世界においても日本国内においても、高級品から庶民の品まで幅広くガラス瓶が使われる現状となっています。
何気なく使っているガラス瓶も、歴史的な背景を考えながらそれを見ると、とても感慨深いものです。