世界の建築物から見るガラス

アラブのガラス

 窓ガラスは、その建築物によって様々な違いや個性を見せることがあります。特にその建築物が世界的に有名なものであれば、なおさら窓ガラスも個性的であると言えるでしょう。
世界各地にある世界遺産や著名な建築物には、数々の素晴らしく興味深い窓ガラスが取り付けられていることが多いものです。そんな世界の建築物から、ガラスの持つ素晴らしい魅力に迫りたいと思います。

有名な建築物の、面白いガラス、美しいガラス

世界にある様々な建築物には、面白いガラスの使われ方、美しいガラスの配置など趣向を凝らしたものが多いです。そのような特徴的なガラスを持つ世界の建物から、ピックアップしてご紹介したいと思います。

面白いガラスを持つ建築物

まず面白いガラスを持つ有名な建築物として、チェコ共和国のプラハにある「踊る家(ダンシングハウス)」が挙げられます。この踊る家は、建物全体がグニャグニャと歪んでおり、その名前の通りあたかも踊っているような印象のある建物です。
その踊る家の一部がガラス張りなのですが、そこで使われていガラスもまた、建物に合わせて踊っているような伸縮性が表現されています。板ガラスをうまく組み合わせて、動きのある形状を作り出せているのは、まさに建築家の方にお見事と言いたいほどのデザイン性です。

美しいガラスの建築物

次に美しいガラスのある建物の一つとしては、アラブ首長国連邦のアブダビにあるアルダーと呼ばれる会社のビルをピックアップしました。
このビルは、普通の会社のビルとは全く違います。その形状は正面から見ると円形をしており、側面から見ると縦に長い形状をしています。そしてそのほぼ全面がガラス張りになっていますので、例えるならば凸レンズの様だと言えるでしょうか。
綺麗な円形状であり、ガラス輝いているこの建築物は、写真を通して見ても一種の神秘さを覚えるほど美しいと感じてしまいます。

世界遺産の建築物におけるガラスの使われ方

世界で最も美しい「ステンドグラス」

シャルトル大聖堂

世界遺産の建築物の中でガラスに特徴があるものと言えば、真っ先にフランスのシャルトル大聖堂が思い浮かびます。なぜならば、シャルトル大聖堂は世界で最も美しい「ステンドグラス」がある世界遺産であると言われているからです。
シャルトル大聖堂のステンドグラスの特徴は、他のステンドグラスにはあまりない「青」の色彩です。
そして美しい色彩を使うことで、キリストの誕生や失楽園、ノアの箱船のエピソードなどをステンドグラスで鮮やかに描いているのも大きなポイントでしょう。

世界遺産の建築物とガラス

世界遺産の建築物において、ガラスは機能性を求められるのではなく、「美しさ」や「創造性の素晴らしさ」を求められると言えます。このシャルトル大聖堂のステンドグラスからも、そのことがわかります。また、この大聖堂のステンドグラスは、近隣の住民の努力によって第二次世界大戦を免れたというエピソードもあります。そのような歴史的背景もまた世界遺産の要素なのかもしれません。

日本の建築と窓ガラスを考察

国立美術館のガラスの素晴らしさ

日本にも世界的に有名な建築物は多くあり、その建築物におけるガラスは重要な役割を果たしています。そしてその役割として考えられるのが、開放感や心地よさではないでしょうか。
国内でのガラスが特徴的な建築物の一つの例として、国立美術館を挙げることができます。この国立美術館は建物の片側一面がガラス張りであり、3階のレストランがあたかも空中に浮いているようにも見えてしまう構造。このような空間で芸術品を見たり食事ができたりするのは、とても心地よいことでしょう。
この国立美術館など、美しい窓ガラスがある日本の建築物から推測するに、日本の建築はガラスに対して芸術性よりもより良い空間作りを求めていることが考察できます。海外の建築物のガラスが装飾性を重視している傾向にあるのに対し、日本のものはいかに光を取り入れるか、いかに空間を心地よいものにできるかを重視している傾向があるからです。
世界中のさまざまなガラスを見たい・体験したい方は、こちらの記事をお読み下さい<見て・作って、ガラス工芸を楽しもう!>

まとめ

世界の有名な建築物におけるガラスは、見た目の奇抜さを表現するために使われることもあれば、純粋に美しさを求めるために使われることもあるようです。そして世界遺産のガラスについては、奇抜さや美しさだけではなく、文化的な価値もそこに付加されたものとなります。
さらに世界の建築物におけるガラスと日本の建築物におけるガラスを対比すると、日本独特のガラスへの期待や使われ方の特徴もわかります。
ガラスと一言に表したとしても、その使い方は世界各国の建築物によって大きな違いが出てくるものだと理解できました。