ガラスが使われ始めたのはいつ?

ガラスのはじまり

 私たちの生活の中に欠かせない素材の一つがガラスである。きっと普通の住宅に住んでいればガラス窓のない家はないだろうし、ガラスのコップが1つもないという家は少ないのではないだろうか。それだけ身近なガラスだが、意外とその歴史については知られていないものである。今回はガラスが使われ始めたのはいつなのか、ということに焦点を当ててみたい。

ガラスが日本で使われ始めた時期

弥生時代に伝わった?

そもそも一体ガラスっていつから日本で使われ始めたのでしょうか。日本にガラスが伝わったのは、弥生時代と言われています。弥生時代の遺跡から、ガラスやガラス玉が出土しています。漢(中国)から伝わったとの説があります。はじめは緑や青が主な色でしたが、次第に黄色や紺、赤系の色なども作られるようになりました。少しずつガラス製造の技術も進歩していったようです。次第に、原材料自体の生産もはじまっていきます。

日本のさまざまな時代のガラス

その後の日本においてガラス製品は、どうだったのでしょうか?
古墳時代には勾玉などの祈りの象徴としてのガラス作品や腕輪など、生活用品として広く普及されることになります。飛鳥時代や奈良時代には、朝廷の保護のもとで、ガラス製造が行われていたそうです。また、仏教に関わるガラスも作られていました。平安時代から室町時代は、ガラス製造は縮小し、一度途切れてしまいます。その後、南蛮人などによって、長崎から、再びガラスが日本に広まっていきます。
ちなみに江戸時代の日本では、まだまだガラスは脆くて壊れやすいものだった。これが明治時代になりガラスが輸入されるようになると、欧米の丈夫で壊れにくいガラスの方が人気が出るようになり、日本においてもガラス製造技術が高まって行ったそうだ。
江戸切子については、こちらのページで詳しく解説しています:<日本の様々なガラス工芸>

世界でガラスが使われ始めた時期は?

古代エジプト時代には存在

ではそもそも、世界でガラスが初めて作られたのはいつなんだろう?これもまた所説あるようだが、エジプトやメソポタミアで紀元前5000年頃から作られていたのだそうだ。紀元前5000年という、そんなに古い時代からガラス製品は存在していたということに驚きを感じる。

昔のガラス製品というのは1個ずつしか作れず貴重なものだったそうで、古代エジプトではガラスと宝石の物々交換が行われていたそうだ。今と違って大量生産の技術が足りず資源が豊富に有り余っていたということを指し示すものでもあるだろう。また紀元前30年ごろから紀元後4世紀までのローマ帝国では「吹きガラス技法」というものが開発された。日本でもよく見る、ガラスとつながった管にふーっと息をふきかけるとぷぅっとガラスが膨らむという、あの製法である。

世界各国に広まったガラス

また中世にローマ帝国が滅亡するとガラス職人たちは周辺の国々に散らばり、独自のガラス文化を築いていくことになる。例えばビサンチンではステンドグラスが生まれて大ブームを引き起こしたし、イタリアのヴェニス共和国ではあの有名なヴェネチアン・グラスが生まれ、一世を風靡した。また中世の建築においても、様々なガラス製品や技法が開発されたが、まだガラスは大量生産の技術はそれほどなく、高級品としての位置づけが強いものであった。
20世紀に入ると、途端にガラスの大量生産の技術が開発されることになる。特に、金属を融解した上に融解したガラスを薄く浮かべることによって製造される「フロートガラス」の大量生産技術により、ガラスはより一層安価で安定した品質で広く一般に普及されることになるのだった。

まとめ

先人たちがガラスの質を高めより低い価格で大量に生産できるようにしてくれたおかげで、私たち凡人も高品質で低価格のガラスの恩恵を受けることができるのだから、ガラスに関わった無数の先人たちに感謝したい。
もしガラスが今でも高価で低品質なものであったなら、マイホームの予算だってもっと高くついていたかもしれないし、窓ガラスのない寒い家に住まなくてはならなかったかもしれないのだから。