世界のガラス工芸

ボヘミアンガラス

ガラスは人の手で加工することによって、その美しさや機能性を高めることができる代物です。そのため、世界にはガラスを加工した工芸品の種類が数多くあります。
では、その魅力的な美しさや使いやすさを誇る、ガラス工芸にはどのようなものがあるのでしょうか。今回の記事では、世界各地にある代表的なガラス工芸についてご紹介させていただきます。

クリスタルガラス

クリスタルガラスの最たる特徴であるのが、その透明度です。ガラスは基本的に透明な製品ですが、普通に加工されたものであれば濁りのある透明なものにもなります。その点、クリスタルガラスは非常に透き通った美しさがあります。
クリスタルガラスはその透明度を用いて、様々な加工がなされているのも大きな特徴でしょう。加工品として多く作られているのが皿やグラスなどの食器類です。しかし、クリスタルガラスの応用はそれだけにとどまらず、カットグラスの素材になったり、シャンデリアや装飾品のビーズなどにも使われています。
また、クリスタルガラスの透明さは見た目の良さだけではなく、工業面や医療面でも応用が利くものです。そのため、かつて主流であったブラウン管のガラスであったり、放射線を使用する際の医療素材としても用いられています。

ボヘミアンガラス

チェコ西部にあるボヘミアという地域では、木灰が取れることで有名です。そしてその木灰から抽出される炭酸カリウムを原料にして作られたガラスを加工して作るのがボヘミアンガラスです。このガラスは、ボヘミアガラスとも言います。
ボヘミアンガラスの特徴は、無色透明のガラス、そして複雑で繊細な模様にあるでしょう。カットグラスの技法は世界各国で取り入れられており、日本でも切子の名称で親しまれていますが、ボヘミアンガラスは、そんなカットグラスの中でもかなりの繊細さを誇るものです。
ボヘミアンガラスのカットには、ダイヤモンドをカットしたような形状のものから、糸と糸を編み合わせるレースのような模様まで幅広いものが存在しています。その繊細な模様により、ガラス製品としての高級感を出すことができることから、ボヘミアンガラスは高級なガラス製の食器などに使われることが多いです。

まだまだある、世界の魅力的なガラス工芸品

クリスタルガラスとボヘミアンガラスの二つを中心にご紹介しましたが、世界にはまだまだ魅力的なガラス工芸品があります。

ベネチアンガラス

ベネチアングラス

イタリア北部のベネチアで作成されているのが、ベネチアガラスです。このガラス工芸品は、ベースとして石灰を使用し透明なガラスを使用し、そこに着色剤となる多様な金属を混ぜることで様々な色合いを出すこと、そして素晴らしい装飾が魅力的です。
特にその装飾技術は素晴らしく、吹きガラスの技法によってかなり薄いガラスの入れ物を作ったり、ガラスを細くして特定のモチーフの造形を付けたりすることが特徴となっています。

キュービックジルコニア

ガラスを加工して人工的にダイヤモンドとして作り出したもの、それがキュービックジルコニアと呼ばれています。
天然もののクオリティのダイヤモンドは、自然の力が無ければ作ることはできません。しかし、現代では科学技術が発達したことから、人工的にダイヤモンドに近いものを作ることができるようになっています。その中でも特に品質が良いのが、キュービックジルコニアです。
現在のキュービックジルコニアはとても透明度が高く、一見すると本当にダイヤモンドかと思ってしまうくらいです。
日本のガラス工芸については、こちらの記事で詳しく紹介しています:<日本の様々なガラス工芸>

まとめ

世界にはガラスの魅力を十分に引き出してくれる、様々なガラス工芸やその工芸をつくる技法があることがわかりました。
これら世界のガラス工芸は伝統的な技法が進化してできたものもあれば、科学技術の発達によってできたものもあります。そのため、人類が科学的に進歩することでも、世界的にガラス工芸の品質や加工の幅が広がっていくのではないかと考えられます。
今回ご紹介したガラス工芸以外にも、細かな技法やガラス工芸品はありますので、興味があれば調べてみてはいかがでしょうか。